
私達の音楽仲間がまた1人いなくなってしまった。
彼とは約20年近く前、それまでしていた、
ファンクバンドを解散し、今度は自分の好きな
ブルースバンドをしたい!ということから、
その時一緒にしていた、ドラムの人から、
いいキーボードがいるから!ということで、
彼を紹介してしてもらった。
長身なのに、控え目な彼。
でも一度ピアノを弾き出すと、見事な腕前で、
次から次へと、毎回違うフレーズが出て来て、
本当に素晴らしく、今までに見たことのない、
唯一のこれだ!というキーボードプレイヤーだった。
特にバラードを弾かせると、素敵すぎて、ドキドキ、
ゾワゾワとする程で、気持ちよく歌うことが出来た。
そんな素敵なピアノなのに、後で自分の歌を聴くと
私の歌の乏しさに、落ち込んだ程。。。
あんなにいい演奏だったのに、申し訳なかったな〜と。。
あの頃から、譜面なしでやっていたけど、
彼なりにメモを取り、一時期は一生懸命してくれ、
彼と一緒に、ライブ♪もすることができた。
バンドのメンバーは、みんなほとんど同じ歳位だった。
26歳にしたら、本当に素晴らしい出来だったと思う。
おそらく、そこらへんのプロより上手だったかも?
もっとも彼はプロだったのだけど。。。
ぢょうど、その頃彼はお仕事で、石川さゆりさんの
ピアノをやっていて、私が「演歌ってどんな感じで弾くの?」と、
いつだったか?飲みの席で聞いたことがあり、
たまたま持っていた譜面を見せてくれて、
「黒玉♪ばかりで、真っ黒!わっ!すごい大変〜!
って、でもちょっとぉ、本物の譜面だし、怖いから早く
しまってしまって!!」(笑)
と、そんなこともあった。
実は、その頃から、1つだけ気になっていたことがあった。
なんと彼は、本物の「アル中」だったのだ。
姿形は普通の人なのに、昼間や、夕方のリハに
来ても、いつもぷ〜んと、お酒の臭いがしていたのだ。
「また飲んでるね〜^^」なんて、冗談で言っていたのだけど、
リハには遅れるし、リハの日は忘れる、来ない、と、
ただの天然ボケ?と最初は思っていたのだけど、
その時にすでに、ちょっと大丈夫?と、思い始めていた。
常にリハの前日、当日、必ず彼の自宅に電話し、
リハの時間を何度も伝えて、来てもらっていた。
それでも、忘れてしまうのか?どこかで飲んでいたのか?
来ない日も多々あった。
あの頃は、まだみんな携帯を持ってなかった時代。
私達の結婚式で演奏をお願いしたのだけど、
その時すでに自信がなかったのか?体長が悪かったのか?
たまたま弟さんも今でも活躍してる、同じくキーボードプレイヤーで、
自分から、弟さに頼んだのだった。でも彼は彼で、BGM代わりに
自由に素敵なピアノを弾いてくれた。
弟さんもその時すでに言っていた。
「兄はお酒がないと、人と話すこともできず、
ピアノも弾くこともできない」と。。。
その後も私の友人の結婚式で、私の作った曲を
素晴らしくアレンジして、弾いてくれたり、
うちの人がベース、彼がピアノ、私が歌という
組み合わせで、二人の友人の結婚式でピアノを弾いてくれた。
それからは、時々寂しかったのだろうか?
珍しく彼から「元気?」って何度か電話があったりした。
その時は、NHKの「歌謡ショー」の仕事してるけど、
テレビにほとんど写らないから…なんて言ったりしてた。
今は便利な時代なので、彼が今、なにしてるのかな〜?
と検索すれば、いろいろなバンドで活躍している様子が
ちょこちょこと出て来ていたから、お酒は飲んでいるんだ
ろうけど、まだ頑張っている様子が伺えたから、
安心はしていた。
今回私達のバンドで、新たにキーボードが必要になり、
そういえば、どうしてるかな〜?と、うちの人と
言っていて、たまには、一緒にまたやりたいよね?
なんて、話していたところだった。
彼自身のHPはなく、弟さんのがあったから、
今なにしてるか?なんて、連絡してみよか?と、思っていた。
弟さんとは、これまた偶然で、何年か前、ある人たちのコンサートで
偶然ピアノを弾いていたのが彼で、「なんかあの弾き方。。。」って
予感がしたら、当たり!とても驚き、嬉しく、思わず
楽屋に訪ねて行ったことがあった。
突然の訪問で弟さんも、びっくり!
「お兄さん元気でやってる??」
「相変わらずですけどね〜」と、その時はまあまあの
体調のようだった。
それで、昨日たまたまPCで検索していたら、
ある人のサイトのコメントに
なんと信じられない文字が・・・
うそ。。。
「○○さんは、お亡くなりになりました。彼をご存知の方は、
こちらに連絡下さい」と、書いてあったのだ。
それで、本当なのかどうかと、メールで連絡してみたら、
丁寧な説明をいただき、お墓の場所も教えていただいたので、
本当に本当だったということが、分かった。
それがちょうど私達が今年2月7日にライブをした次の日、
その連絡をいただい方も、ライブがあったようで、
もちろん亡くなってしまった彼がKey.で、
前日には、いつものよう遅れてリハに来たようだけど、
来る前に3度も吐いたと言っていたよう。
その時すでに、かなり状態が悪かったようだった。
次の日のライブ当日の日は、とうとう彼は来なくて、
連絡も取れず、メンバー全員お怒り!
私達にも、イベントライブの当日に、彼が来ない!
という同じことがあったのを思い出した。
昨年1月から、ご両親が独り立ちさせなければと、
1人暮らしを始めさせたのが、ますます悪い状態となり、
1日1本ボトルを開け、アルコール依存症はどんどん
悪化していくばかり。そのお友達の彼も真剣に
怒ったこともあったよう。
私もずいぶん昔「お酒ばかり飲んでると、本当に死んじゃうからね!」と、
半分冗談、半分本気で言った記憶があるけれど、
まさかこんなにも早く、本当に逝ってしまうなんて・・・
連絡をいただいた彼の話では、今年の2月のライブに
来なくなってから、家から一歩も外に出ていなかったらしく、
連絡が取れなかったことから、ご両親が、警察に捜索願いを出し、
発見されたのが、なんと4月の中旬だったそう。
3月に44歳の誕生日を1人で過ごしていたのかと思うと
本当に胸が詰まる思いで・・・と。本当にそうだ。
私と同じ3月生まれで同じ歳。
彼を1人にさせてはいけなかったのだ。
昨夜は、彼と一緒にした、バンドのビデオを観たり、
昔の自分たちの勢いあった頃のバンドのビデオを観たりと、
思わず懐かしく、寝たのが夜中になってしまったほど。
彼との写真はあまり残っていないから、唯一ビデオと、
私の曲で彼がピアノを弾いてくれ、録音をしたテープが
残っているのが、思い出のものとなってしまった。
さっき、彼とスタジオに入って練習した時のカセットテープも
出てきた。
ビデオにでも映ってなければ、彼のことは、私の記憶の中でしか
無くなってしまうから、本当にそれだけでも、
残っていて、よかったと思う。
特にあの綺麗に録音されたテープは、自分の曲も好きだったし、
「おもちゃのような、ピアノにして欲しい」と、言ったら、
その通りに弾いてくれた、あの曲は、本当に私の宝だ。
今ピー早すぎるよ。。
「今ピー」なんて言っていたのは、おそらく私達だけだったと思う。
あの、すっ呆けた彼がなんともおかしく、
いつも突然消えてしまったりすると、
「あれ?今ぴーどこ?」と言うと、
「いるよ〜」と、どこからか出て来て言っていた。
その、か細い声が今でも、忘れられない。
マイケルもそうだけど、偉大な才能ある人ほど、
早死にしてしまうのだ。本当にそうなんだ。。。
ご連絡をいただいた、堀口さん。いろいろとご丁寧に
教えていただき、本当に感謝しています。
たくさんのお酒を持って主人とお墓に行って来ようと思います。
もう、心おきなく、飲めるでしょう。。。
うちの人いわく「今ピー、やっぱ本当は死んでねえんじゃねぇの??」
と、未だに信じてません。